先日、『1億3000万人のためのeスポーツ入門』を購入しました!
非常に興味深い内容で、一気に読めましたね。
全容は買って読んでいただくとして、ここでは特に強く興味を引かれた部分について詳しく書きます!
最初に全章の内容を要約した概要も付いています!
Contents
『1億3000万人のためのeスポーツ入門』概要
まずは、各章の概要についてざっと書きます!
第1章:但木一真氏
近年のeスポーツ市場の変化・企業がeスポーツに参戦することの思惑・実際にeスポーツに触れることの重要性などについて書いています。
第2章:謎部えむ氏
過去のeスポーツ界の流れを振り返りつつ、2018年に起きたeスポーツ界の大きな変化について書き、そのうえでeスポーツ界の未来について提言しています。
第3章:live氏
自身のeスポーツプレイヤーとしての過去を回想し、その経験からeスポーツプレイヤーに伝えていきたいことをリアルに書いています。
第4章:西谷麗氏
eスポーツチームを経営した経験から、eスポーツにビジネスとして向き合う際に必要なこと、ならびにこれからの展望について書いています。
第5章:佐々木まりな氏
TVプロデューサーとしてeスポーツの番組を制作する際に心がけていることや、TVとeスポーツの今後について書いています。
第6章:高木智宏氏・松本祐輝氏
弁護士の観点から、例えば今まで難しいとされてきた高額賞金の大会がどのようにして行われるようになったかなど、eスポーツに関する法律や権利の問題について書いています。
座談会:但木一真氏・荒木稜介氏・松本祐輝氏・小澤脩人氏
チャットアプリ「Discord」内のeスポーツコミュニティ「Esportsの会」の運営者4名が集まり、eスポーツをブームで終わらせないためにはどうすべきかについて語り合った模様が書かれています。
ハースストーンはeスポーツティア1(最上位)の評価!
ここからは、私個人が興味を持った部分を深掘りしていきます!
総合的な格付けで最上位にランクイン!
まずは、ハースストーンプレイヤーとして見逃せないトピックを挙げます!
スマートキャスト社のeスポーツタイトルの格付けとして、以下の分類がなされていました。
最も規模の大きなティア1は、賞金が500万ドル以上、視聴時間が2000万時間以上、フォロワー数が900万人を超えるタイトルが分類され、『リーグ・オブ・レジェンド』、『フォートナイト』、『カウンターストライク:グローバルオフェンシブ』(CS:GO)、『Dota2』、『オーバーウォッチ』、『ハースストーン』の6タイトルが該当する。
出典:『1億3000万人のためのeスポーツ入門』
なんと、ハースストーンが全eスポーツタイトルの中で最上位のティア1になっていました!
賞金総額が上位にあることは認識していましたが、総合的な格付けでも最上位にランクされたことは正直予想外でした。
というのも、日本での現状とはイメージが異なるものだったからです。
ハースストーンは日本ではマイナーゲーム扱い…
格付け的にはティア1ですが、現場にいる身からだと、日本でのハースストーンはマイナータイトルだと言わざるを得ません。
国内のプレー人数も決して多くはなく、広く認知されているとは言いがたい状況ですね。
やはり母体が海外のメーカーということもあり、日本での展開が遅れているということなのでしょう。
※余談ですが、日本eスポーツ連合(JeSU)のプロライセンス認定タイトルにもティア1の6タイトルは含まれていません。いずれも海外メーカー発ということが関係しているのではないかと
どうやったらより日本で普及するのかを考えなければなりません。
日本での普及には「配信」が鍵となる!
ここで鍵を握るのは、配信の強化ではないかと考えています。
先日、ハースストーンプレイヤーの蒼汁さんが、株式会社RED ONEとストリーマー契約を結びました。
人気・実力を兼ね備えたプレイヤーである蒼汁さんがストリーマーとして積極的に発信を行うことは、ハースストーン界に良い影響を与えるものだと考えています。
ハースストーンならびにプレイヤーの存在を「知らせる」という意味でも、今後も皆さんが配信をおこないやすい・気軽に見に行きやすい環境になることを切に願っております。
このように、日本と世界の盛り上がりにも違いがある
話が逸れましたが、日本でeスポーツが盛り上がっているといっても、世界のそれとはまた違った様相であることは、本書にある中でも無視できない観点だと考えます。
例えば、ストリートファイターは先の格付けだとティア3という三番目の位置にとどまりますが、日本だとまずeスポーツとしてイメージされやすいタイトルであり、世界からも日本は「格闘ゲームの国」と認知されています。
この現状は踏まえつつも、今後はまだ認知されていない日本のeスポーツの強みを押し出していくことが必要だと感じましたね。
ゲーマーには「ろくでなし」が多かった
「ゲーマーには『ろくでなし』が多かった」。
いきなり何ぞや!?と思ったかもしれませんが、ちゃんと意味があるのです。
本書の第3章では、ぷよぷよのプロライセンス保持者であるプロゲーマーのliveさんが、自身の経験を回想する形で語っています。
その一節に冒頭の言葉が出てきたんですね。
第3章におけるliveさんの回想
彼ら(引用者注:ゲームという趣味を持つ者たち)は、とにかく自己肯定をすることが苦手だった。
自身を首肯できず承認欲求の満たされない人間は往々にして、攻撃性を抱いてしまうことが多い。
(引用者中略)
傍目にも、不安定な精神性を有しているなと思う人間は多かった。小難しくなってしまったが、ゲーマーにはいわゆる「ろくでなし」が多かったのだ。
出典:『1億3000万人のためのeスポーツ入門』
私は過去にいろいろなゲームをやってきましたが、この部分はある意味で真実を言っているように思います。
確かに、自分を肯定できずに承認欲求が満たされないように見えるゲーマーの方も何人か見たことがあります。
これは長年現場を見てきたliveさんが率直に実情を述べた貴重な箇所だと考えます。
実は、それ(引用者注:ゲーマーにはいわゆる「ろくでなし」が多かったこと)は否定的な側面ばかりではなかった。粗野な対人コミュニケーション環境であったからこそ、私たちゲーマーにとってゲームコミュニティは救いの場にもなりえた。なぜかというと、私たちはそこで「素晴らしい人間」を演じる必要が一切なかったからだ。
(引用者中略)
そこでゲーマーは、くだらない素の自分でいてよかった。肩肘を張る必要がなかった。気楽な場を求めていた。誰もがそう安心している節があったのではないかと思う。
出典:『1億3000万人のためのeスポーツ入門』
ここも「うん、うん!」と強くうなずきましたw
ゲームコミュニティには本当に色々な人がいて、中には癖の強い方もいますが、それは気を許しているからだという側面も確かにあるように感じます。
さすがにあまりに迷惑をかけすぎると排除されることもありますが、基本的にどんな人間でも一旦は受け入れるという懐の広さもまた、ゲームコミュニティの大きな特徴ではないかと思います。
「争い」ではなく「救い」の場としてのeスポーツ
「eスポーツ」というと、どうしてもその「競技性」が注目されやすいですよね。
特に、ゲームコミュニティでは実力が強く重視されますから、なおさらその流れは加熱します。
ですが、ゲームコミュニティというものは、「ここにいていいんだよ」という「救い」の場でもあるのではないでしょうか。
どちらの面が無視されても、あるべきコミュニティの姿にはなりえません。
加速していく時代の流れの中で、liveさん自身の経験をもとにeスポーツについて考える第3章は、特に共感できるところが多かったですね。
懐かしのゲーセンも登場!
なお、余談として、本書にはぷよぷよの聖地として横浜のセブンアイランドというゲームセンターが登場するのですが、ここは私もよく訪れていました。
ゲーセンのQMA(クイズマジックアカデミー)というゲームをプレーするために来てたんですね。
店内は非常に狭く、階段が店の半分近くを埋め尽くしているような変わった構造で、プレーしていると薄味のお茶がサービスされていましたw
通称「七島(ななしま)」と呼ばれ、地元のプレイヤーさんから親しまれていましたね。
数年前に閉店してしまいましたが、閉店の日には多くのゲーマーが集まって別れを惜しんでいました…
そういった思い出もあるからこそ、liveさんの回想にはすごくリアリティのある熱が感じられましたね。
最後に
概要以外はけっこうニッチなところを掘り下げたと思いますw
まあ、概要である程度全体を俯瞰しましたので、大丈夫かなとw
全体としましては、近年のeスポーツ界にまつわる期待と不安を、その渦中の視点から描いた稀有な一冊であると感じました。
まとめるところはまとめ、詳しいところはかなり生々しい話も書かれていて、すごくバランスが取れていると思いましたね。
将来何らかの形でeスポーツに携わりたいと考えている方でしたら、買って損はない一冊でしょう。
詳細が気になりましたら、ぜひ下記から購入してみてください!
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