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ハースストーンのカードを東大哲学科卒が哲学的に考察するよ~第1回 アングリーチキン~

アングリーチキン

世界中で大人気のデジタルカードゲーム「ハースストーン」。

今回は、ハースストーンのカードを哲学的に解釈するという新たな試みに挑戦しました!

記念すべき第1回のカードは「アングリーチキン」です!

※ハースストーンが分からなくても読めるようになっています

「アングリーチキン」とは?

アングリーチキン

ハースストーンには、「アングリーチキン」というカードがあります。

なぜこのカードを第一回のテーマに選んだのか、説明していきます。

怒って攻撃力大幅アップ!

「アングリーチキン」の名前通り、ダメージを受けると怒って攻撃力が+5と大幅にアップします!

元の攻撃力は、カードの左下の黄色い数字である「1」です。

それが+5ですから、合計6でなんと攻撃力が6倍にもなるのです!!

しかし、致命的な弱点が…

一見強そうですが、このカードには致命的な弱点があります。

このカードの元の体力は、カードの右下の赤い数字である「1」です。

そして、ハースストーンの最小ダメージは「1」…

何となく察しがついたでしょうか。

つまり、ダメージを受けると能力を発動することなく死んでしまうのです…

そのため、一般的にはネタカードとされていますw

活躍させるには?

一応、活躍させる方法がないわけではありません。

ただ、体力をアップさせて、ダメージを受けさせて、かつダメージから生き残らせて…という、非常にめんどくさい下準備が必要になりますw

このように、アングリーチキンを活躍させることは決して簡単ではないのです…

このことを予言するような哲学が!

さて、なぜこのアングリーチキンを第1回のテーマに選んだのでしょうか?

なんと、アングリーチキンの性質をズバリ言い当てたかのような哲学が、過去に存在していたからです!!

まさに衝撃の事実!! その哲学とは!?

 

アリストテレスの「怒り」の哲学

アリストテレス

その哲学の主とは、なんと超有名な哲学者であるところのアリストテレス!

おそらく、多くの方が名前を聞いたことがあるでしょう。

では、どのような哲学なのでしょうか?

著書『ニコマコス倫理学』より

アリストテレス『ニコマコス倫理学』第2巻において、以下の記述が存在します。

「怒ることは誰でもできる、簡単なことだ。だが、適切な人に、適切な度合いで、適切なときに、適切な目的で、適切な方法をもって怒ることは、簡単なことではない。」

この箇所は、アリストテレスの名言としてもよく引用されています。

ここでは、人間は怒りすぎたり逆に怒らなかったりするので、適切な中ぐらいの度合いに至るのは難しいということが書かれています。

さて、ちょっと立ち止まって見てください。

これ、アングリーチキンのことではないでしょうか??

一つ一つ見ていきましょう。

「怒ることは誰でもできる」

確かに、アングリーチキンはダメージを受けて簡単に怒ることができます。

ですが、その先に待っているのは攻撃力アップではなく死です。

破滅しかありません

「適切な人」

上手いプレイヤーが使わないと、アングリーチキンを活躍させることはできません。

「適切な度合い」

ダメージを与えすぎてはいけません。

たとえ体力を10にしても、11ダメージを受ければ死んでしまいます。

「適切なとき」

活躍させるにしても、状況を選ぶことが重要です。

あと少しで自分がやられる状況でアングリーチキンをムキムキにしていたら、「お前バカか?」と言われることでしょう。

「適切な目的」

目的は、あくまでも勝負に勝つことです。

アングリーチキンの攻撃力を105、体力を100にしたところで、攻撃できなければ「感謝します。」と言われて負けるでしょう。

「適切な方法」

勝つためには、有効なコンボを考える必要があります。

ただ体力をアップさせてダメージを与えるだけでなく、できれば確実に生き残らせたいところです。

まさにアングリーチキンのことだ!!

ここまで聞いて、この文言がいかにアングリーチキンのことを表しているか、お分かりいただけたでしょうか。

しかも、活躍させるのが「簡単ではない」ことまで一致しています!

まさにアングリーチキンのための哲学と言えるでしょう!!

 

筆者の思い出

ちなみに、このアングリーチキンというカードに関しては個人的な思い出があります。

あろうことか、私はガチ大会にアングリーチキンを持ち込んだのです!!

ハースストーンをプレーしている方向けに説明しますと、採用したのは練気ナーフ前のアグロドルイドでした。

ヤシャラージュの烙印で獣シナジーを発揮しつつ、体力をアップして攻撃力+5を狙う意図がありました。

少なくとも狙いはありましたので、そこまで的外れな採用ではなかったと考えています。

結果? 1回戦でボロ負けしましたとも。

やはり、勝つことも「簡単ではない」…お後がよろしいようでw

 

最後に

今回は、ハースストーンのカードを哲学的に解釈するという新たな試みに挑戦しました。

今後もシリーズ化していきますので、よろしくお願いします!

デッキガイドも書いていますので、ハースストーンをプレーされている方はぜひご一読を!

テンポローグのガイドはコチラ!

 


 

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