皆さんはバンド「スピッツ」はお好きですか?
新曲「優しいあの子」が朝ドラ「なつぞら」の主題歌となるなど、今もなお精力的に活動しています。
そんなスピッツですが、実は有名な曲以外にも隠れた名曲が非常に多いのです!
というわけで、今回はスピッツの大ファンである私が、「一般的な知名度はないけれど間違いなく名曲」という曲10曲を紹介したいと思います!
※曲の前の番号は通し番号であって順位ではありません。ただ、だいたい番号が若いほどおすすめだと思っていただければと。(細かい順位はなかなか決められないもので…)
※以下の曲はすべて草野正宗氏が作詞・作曲を行っています。
Contents
夜を駆ける / アルバム『三日月ロック』
『夜を駆ける』は、アルバム『三日月ロック』の冒頭を飾る曲です!
ファンの中でも名曲と名高い一曲です!
どこか怪しげなイントロと、サビで疾走するドラムが独特の世界観を醸し出しています。
曲調だけでなく、この曲は歌詞も非常に独特で、まるで二人で逃避行をしているような印象を持たせるのです。
特に印象的なのがこの歌詞です。
似てない僕らは細い糸で繋がってる よくある赤いやつじゃなく
この歌詞が、単なる恋愛関係ではない深い連想を引き起こし、曲の世界観に深みを与えていると考えています。
もう最初から最後まですべて意味深なんですが、その中でも単なる恋愛ソングと一線を画すのは、サビのここですね。
夜を駆けていく 今は撃たないで
まさかの「撃たないで」ですよ?
普通に駆けているだけなら撃たれるなんてことはあり得ないでしょう。
まさにのっぴきならない事情があると推測されます。
ならず者同士の駆け落ちか、はたまた自由を求めて支配から逃げているのか…
曲調・歌詞含め、全てが芸術作品としての風格を兼ね備えている一曲です!
ガーベラ / シングル『さわって、変わって』カップリング
『ガーベラ』は、シングル『さわって、変わって』のカップリングです。
非常にゆったりとした、切ないスローバラードです。
どことなく性行為を連想させるような、退廃的な歌詞が特徴的です。
個人的に特に好きな歌詞がこれですね。
ガーベラ 都合よく はばたけたなら ここにいなかった
この部分が、「挫折」を連想させます。
思い通りの人生だったなら、二人の出会いもなかった。
それは幸せなのか、不幸なのか、誰にも、二人にもわからない。
それでも、ただ二人は闇の中へと消えていく。
そんな含みを持たせる素晴らしい歌詞だと思いますね。
つくづく、なんでこの曲をA面にしなかったんだ!? と今でも思います。
サンシャイン / アルバム『空の飛び方』
『サンシャイン』は、アルバム『空の飛び方』の最後を飾る曲です。
いかにも夏を思わせるタイトルですが、曲調は寒々しくて切なく、まるで冬の歌のようです。
この夏と冬が混じり合う感じがなんとも言えずよいですね…
特に好きな歌詞は、Bメロのここです。
許された季節が 終わる前に
「季節」とありますが、その前に「許された」とあります。
これにより、単なる「季節」というよりも、人生を連想させるようになっていると考えます。
この季節の終わりとともに命も許されず終わる、だからそのときまでは…といった想像を、たった一行で聴き手にさせる歌詞は見事だと思います。
別れと終わりを連想させる、綺麗な一曲です。
真面目に、名曲『ロビンソン』に勝るとも劣らないのではないでしょうか。
大宮サンセット / シングル『夢追い虫』カップリング
『大宮サンセット』は、シングル『夢追い虫』のカップリング曲です。
スピッツの曲には珍しく「大宮」という具体的な地名が入った一曲。
そのためか、歌詞もすごく日常的なものとなっています。
いかに特に好きな部分を挙げます。
大宮サンセット 手をつないで 歩く土曜日
「土曜日」というのは、言うまでもなく翌日は日曜日です。
すなわち、「明日は仕事」という雑念に惑わされることなく、君との時間を大切にしていられる…
スピッツとしては意外にも現実的なシチュエーションですが、それがまたよいのです。
あの 大宮サンセット 妙にでかいね 小さな世界を照らす
「大宮の街で、沈む夕陽がやけに大きく見える。それに比べたら、なんて俺たちの世界は小さなものなのだろう…」
そんな声が聞こえてくるかのようです。
でも、そんなちっぽけな世界を生きていく。
主人公の密かな決意が感じられるような気がしています。
日常をアコースティックギターに乗せて歌い上げる、スピッツの中でも異色の一曲となっています。
ハートが帰らない / アルバム『ハヤブサ』
『ハートが帰らない』は、アルバム『ハヤブサ』収録の一曲です。
この曲はスピッツには珍しく、デュエット曲となっています。
デュエットの相手を務めるのは、五島良子さんという女性歌手の方です。
サビまではすごく穏やかな感じの曲なのですが、サビに入ると曲調が一変!
あれから ハートが帰らない
飛び出た ハートが帰らない
文字にするとあっけないですが、実際は、
「あぁれぇかぁらぁ~~~あぁ~~~あぁ~~~あぁ~~~、はあぁ~とがぁ~~~あぁ~~~あぁ~~~かぁえぇらぁなぁ~いぃ!」
といったように、デュエットで熱唱するような感じになるのです!
そのため、本当に「ハートが帰らない」んだな…という気持ちにさせてくれるんですね。
サビ前までのゆったりさとのギャップもあり、すごく印象に残る一曲です!
フェイクファー / アルバム『フェイクファー』
まず、曲の構成が神がかっています。
Aメロが終わる直前で畳みかけるように曲調が変わるなど、全体的にドラマチックです。
ですが、この曲の真骨頂は歌詞にあります。
夢のような唇をすり抜けるくすぐったい言葉のたとえ全てがウソであってもそれでいいと
(中略)
分かち合う物は何も無いけど恋のよろこびにあふれてる
(中略)
偽りの海に体委ねて恋のよろこびにあふれてる
今から箱の外へ二人は箱の外へ未来と別の世界見つけたそんな気がした
なんとなく、「フェイクファー」という題名のように「ウソ」や「偽り」という言葉があり、「分かち合うものは何も無い」ときている。
さらに、「箱の外へ」出て「未来と別の世界」へ…
そう、この箱は「テレビ」で、恋はテレビの中の存在とのものなのではないでしょうか。
聴いていた当時は高校生だったのですが、テレビの中のアイドルとこの曲の相手役とを重ね合わせていました。
当時はモーニング娘。の全盛期でしたからね。
「私がゴマキ」とかなんとうらやましいことか…げふんげふん
人によっては、アニメのヒロインと自分とを重ね合わせるのかもしれませんね。
桃 / アルバム『さざなみCD』
『桃』は アルバム『さざなみCD』収録の一曲です。
全体的にキラキラしたきれいな曲調が印象的な一曲です。
ですが、それだけではなく、歌詞も印象的なのです。
つかまえたその手を 離すことはない
永遠という戯言に溺れて
これはサビの歌詞です。
「つかまえたその手を 離すことはない」、これだけなら普通に思うのですが、直後にいきなり「永遠という戯言」で釘を刺してくる。
熱中しながらも、どこか世界を冷静に見ている。
そんな二面性を感じる一曲なのです。
他人が見ればきっと 笑いとばすような
よれよれの幸せを追いかけて
これもサビの歌詞です。
ここにも、自分の幸せを「よれよれの幸せ」として見るという、冷静な視点の存在がうかがえます。
でも、これはすごく誠実ですよね。
人間は、手に入れた幸せに没入したがるものです。
けれど、心のどこかで、その幸せがちっぽけなものだと気づいている。
それを冷静に受け入れたうえで、「ちっぽけでもいいじゃないか」と肯定する…
そこに真の人間の強さを見た気がしますね。
魔女旅に出る / 3rdシングル
『魔女旅に出る』はスピッツの3rdシングルです。
将棋の藤井聡太七段が、スピッツの中でも特に好きな曲だと答え、少し話題にもなりました。
今回の中では唯一シングル曲からの選出です。
スピッツがまだ世間的にブレイクする前の一曲であり、あまり知られていないと判断して選出しました。
この曲は特に2番の歌詞が秀逸です!
今 ガラスの星が消えても
空高く書いた文字
いつか君を照らすだろう
歪んだ鏡の向うに
忘れてた道がある
さあ まだらの靴を捨てて
なんだかすごく背中を押してくれる歌詞だと思いませんか?
特に、「歪んだ鏡の向こうに忘れてた道がある」は、かつて夢を諦めた自分の姿と重なりましたね。
最近のライブバージョンだと明るい感じになっていますが、個人的には原曲のほうが好きですね!
アルバム『名前をつけてやる』にも収録されています!
君だけを / アルバム『Crispy!』
『君だけを』は、アルバム『Crispy!』収録の一曲です。
後に、同じく『Crispy!』収録の『夢じゃない』がシングルカットされる際にカップリング曲として採用されましたが、個人的には『夢じゃない』より好きです!
冬の寒々しい感じを思わせる壮大なバラードで、つくづくカップリング曲に置いておくには惜しい曲だと考えています。
特に、サビは切なく訴えかけるように歌っています。
君だけを必ず 君だけを描いてる woo… ずっと
歌詞の内容自体はシンプルなんですが、歌い方がもう消え入りそうで、すがるようで、崩れゆくなかでただ思いだけが残るような印象を抱かせます。
本当、スピッツはカップリング曲に名曲が多すぎるのです…
猫になりたい / シングル『青い車』カップリング
『猫になりたい』は、シングル『青い車』のカップリング曲です。
今でもファンの中では真っ先に名前が挙がる「隠れ名曲」です。
元々はシングルとして発売予定だったため、『青い車』のジャケットに猫が描かれているなんていうエピソードもあります。
曲調は全体的にほのぼのとして優しい感じなんですが、歌詞はけっこう意味深です。
灯りを消したまま話を続けたら
ガラスの向こう側で星がひとつ消えた
からまわりしながら通りを駆け抜けて
砕けるその時は君の名前だけ呼ぶよ
「星がひとつ消えた」…「砕けるその時は」…
いったい何があったんだ、と思わせてくれます。
どことなく死を連想させるフレーズのように感じられますね。
猫になりたい 言葉ははかない
消えないようにキズつけてあげるよ
このサビの歌詞も面白いです。
「消えないようにキズつけてあげるよ」、猫だとするとせいぜい「ひっかく」ぐらいで済みますが、これが人間だったら恐ろしいですよね…
とはいえ、曲調が最初から最後まで穏やかで聴きやすいため、こういった歌詞もあまり気にならずに耳に入ってきます。
でも、やっぱりよくよく考えてみると…という、スルメのような一曲ですね。
最後に
本当は10曲になど収まりきらないのですが、かなり厳選してお伝えしました。
また近いうちに第二弾を発表すると思いますので、楽しみにしていてください!
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